岩崎学園は横浜市内の老舗の専門学校のひとつです。よこはまユースニューデールの取り組みがはじまる前から、横浜市や『よこはま若者サポートステーション』と共に、インターンシップなど、様々な若者の自立支援に関する取り組みで実績を上げてきました。今日は、横浜駅からほど近い校舎に、理事の植田威さんを訪ねました。
―よろしくおねがいします。早速ですが、岩崎学園ではいろいろなインターンシップを実施されていますが、このような取り組みをはじめたきっかけを教えてもらえますか?
「まず岩崎学園は専門学校ですので職業人としての訓練というのが得意なんですね。その中で若者たちを支援している団体の方から資格が欲しいっていう話があったんです。販売士や簿記、IT関係の資格や、秘書検定の資格を取得してもらうということであったら提供できるかな、というのがありました。岩崎学園で短期のプログラムを学んでもらって、若い人が就業に結びつけば、というのが今回のインターンシップ事業を思いついた出発点だったんです」
―岩崎学園の得意分野を、若者の就労支援と上手く結びつけられないか、というところからはじまったんですね。
「ただ、私たちだけでは限界があるんですね。結局、学んだ、勉強したというだけですんで。そこで、いろんな場所で就業体験ができる。職場見学ができるということで、地域全体として若者たちに社会参画してもらおう、仕事についてもらおう、ということではじまったんです」
―実際に岩崎学園でインターンシップを実施してみて、若者の様子など、植田さんが感じていることを教えて下さい。
「やっぱり一人で悩んでいる方が多いなと。インターンシップなどの必要性は非常に感じているという印象です。『資格を取りたいと思っていました』、『勉強したいと思っていました』、『アルバイトしたいと思っていました』って。思ってるんだけども、踏み出せなかった若者が多いんです。ですから問題は踏み出す機会が、たくさんあるっていうことだと思うんですね。こういったインターンシップ・プログラムをいかに若者目線で情報提供していくかというのがカギかなと思っています」
―インターンシップを受けるって、結構、勇気が必要だと思うんですけど、最低限準備しておかなきゃいけないことって何かありますか?
「気持ちじゃないですかね。がんばろうという気持ち。最初は上手くできないというのは当然で、よく、『こんなことが出来ないとダメですか?』とか聞かれるんです。たとえばITの講座ですと『ワードができなくちゃダメですか?』とか『エクセルができなくちゃダメですか?』と。でも実際には私どもはまったくできないことを想定しています。キーボードがなんとなく触れるかくらい。そんなレベルからでいいと思うんですね。皆さん失敗を恐れすぎているのかなと。だから頑張ってやってみようという気持ちがあれば、それだけで十分じゃないかなというふうに思います」
―岩崎学園で行っているインターンシップの“特徴”や“売り”といったものはありますか?
「一つは産学連携じゃないですかね。学校で座学をしながら、私どもとパートナーを組んで頂いている企業さんで短い期間ですけど実習するということです。参加していただいている企業自身が非常に人材育成しようという意識が高いんです。のべつまくなしに企業さんにインターンシップをお願いしているということはなくて、よくご理解をしていただいている企業さんとやっているんですよ」
―企業さんとのパートナーシップが出来上がっているという感じなんですね。それは、インターンシップ先を選ぶ際の安心材料になりそうですね。
「あと、もうひとつは全てが私どもでやるわけじゃないっていうことなんです。例えばメンタル的なところのケアっていうのは、よこはま若者サポートステーションといったところが、私どもよりプロフェッショナルですので、そこのカウンセラーの方にこの訓練の場に来てもらって、休み時間だとか、座学が終わった後でコミュニケーションをとってもらうという連携も取っています」
―なんだか技術を教えるプロである専門学校さんが、若者の支援に乗り出してくれると、とても心強いなという印象を受けますね。
「逆に言うと、支援機関やNPO法人も、自分たちを中心に据えて、座学や人材育成だったら岩崎学園っていうような連携が組めれば、非常に若者にとっては魅力的なんじゃないかと思っていますよ」
―岩崎学園として、今後の若者の人材育成について、何か展望があったら教えてください。
「あまり大きなことは考えていなくて、人材育成とか教育とか、そういったものなら、私どものところだけじゃなくて、それをプロにしている横浜市内にある専門学校などを利用してくれると、若者のニーズに応えられるんじゃないかって思っています。神奈川県の中に専門学校は80校くらいあるんですよ。そういったところをうまく活用すると、必ずしも企業でインターンを受けなくても疑似的な体験が専門学校でもできますよね。人材育成の仕組み作りとして、専門学校が横浜市の中で位置づけられると、非常に多くのメニューが提供できるんじゃないかと思っています」
―それはできたらいいですね! 働くってどういうことかイメージを持てなくて立ち止まってしまう若者って多いと思うんですよ。植田さんは、その辺のついてはどう思いますか?
「今までの教育っていうのは、すごいストレートでシビアな教育だったけど、なんかもう少しゆっくりな、失敗を許せる、戻っても許される、そんな支援システムがあったらいいなと思っています。
<ここで一呼吸置いて> 私ね、“即戦力”って言葉が嫌いなんですよ。つまり“即戦力”って使い捨てなんですよね。人を育てる。自分のところにきた職員を育てる。自分のところの職員の家族を養わす。それが企業の責任だって思うんですよ。そうすると、やっぱりその戦力である社員、職員って言うのを、どうにかして育成していくっていう事が必要だって私は思うんですよ。それは、企業の皆さんもちゃんと考えてらっしゃいますよ」
―なんだか元気を貰えたような気がします。ありがとうございました。
インターンシップという、企業の中で実際に職業を通じて過ごしてみるという体験は、自分が学んできたことや、これから自分が進んでいきたい方向をしっかりと確かめるには絶好の時間になると思います。また、それだけではなく、体感しなければわからない業界の持つ雰囲気や、働いている人のタイプを知ることができるのも、インターンシップのメリットだと思います。そしてその体験をしっかりとしたサポートの中で振り返る時間をもてることが、岩崎学園が提供するインターンシップの価値なのではないかと思いました。