(2010.02.17)

仕事をすることで自分らしさを見つける
起業支援団体スタッフ    田中多恵さん    26歳

 ワンダフルワークス第9回目のゲストは、実践型インターンシップの実施や起業支援に取り組むNPO法人ETIC.(エティック)で働く田中多恵さん。田中さんは大学卒業後、リクルート社に就職し4年間務め、昨年転職。大学時代に取り組んだインターンシップでの経験が、田中さんのやりたいことを見つけるきっかけになっていました。

会社が変わってもやりたいことは変わらない

質問
―田中さんのお仕事の内容を教えて下さい。
田中さん
実践型インターンシップや起業支援を行っているNPO法人「ETIC.」で、「横浜社会起業応援プロジェクト」を担当しています。
質問
―「横浜社会起業応援プロジェクト」とは、どのようなプロジェクトですか?
田中さん
横浜市経済観光局より委託された公的プロジェクトで、横浜エリアでの社会起業やソーシャルビジネスの支援を行っています。具体的には、横浜でビジネスを通じて社会貢献しようとしている企業に対し、協力者との出会いの場や、ステップアップの機会を提供したり、また、企業がどんなインターン(プロジェクトでは「OJT制度」の名称で実施)を求めているかを考えて、企業と学生がどちらも成長できるようなインターンシップになるようサポートしています。
質問
―この仕事に就いたのは何がきっかけだったんですか?
田中さん
大学1年生の時に、「ETIC.」が主催するインターンシップに参加したのが最初のきっかけでした。インターンでは、長野県の白樺湖にある旅館で働かせてもらい、地域で人の力を活かせるような取り組みを考えました。大学卒業後はリクルート社に就職して、企業の人事採用相談などの仕事を4年間していましたが、「ETIC.」が「横浜社会起業応援プロジェクト」の人材募集をしているのを見て、昨年転職したんです。
質問
―リクルートというと、フリーマガジン「R25」や就職情報サイト「リクナビ」などで有名ですね。「ETIC.」はNPO法人ですが、企業からNPOに転職することに迷いはありませんでしたか?
田中さん
前職もすごく楽しかったんですが、大学時代のインターン経験から、人材採用と地域活性化を同時に考えられることをいつかやりたいなと思っていました。地域に関わる仕事にいつか就きたいということも当時の上司に話していたりしたので、転職すると言った時は、上司も「ついにその時がきたか」という感じでしたね(笑)。周りの方も後押ししてくれましたし、会社が変わってもやりたいことは変わらなかったので転職には迷いませんでした。
質問
―前職で仕事をしている頃から、やりたいことへのステップを積み重ねていたんですね。転職してみてどうでしたか?
田中さん
いろいろつらいこともいっぱいありますけど、やりたいことができているので楽しいですね。
質問
―仕事スタイルは前職に比べてどのように変わりましたか?
田中さん
前職は大きな会社だったので仕事もそれぞれ担当が分かれていましたが、今は人数も少ないので、自分がやりたいことをやるためには担当は関係なく全部自分で下準備をしなければいけません。でも、そのことで前職よりも仕事のフィールドが広がりましたし、前職と今の仕事を比較するというよりは、前職の4年間のプロセスに積み重なる形で今の仕事ができていると思います。

仕事に向いてないと考えるのでなく、楽しい部分をいかに広げていけるか工夫する

質問
―仕事をする時に心がけていることを教えて下さい。
田中さん
思い立ったらすぐ行動するように心がけています。最近連絡を取っていないなと思ったらすぐメールをしますし、常に情報に対する感度をもって、どこかで何か気になる情報があったら、これは誰かにとって有用じゃないかなと考えるようにしています。
質問
―この仕事をしていてよかったなと思うことはどんなことですか?
田中さん
インターンを終えたある学生が「全部ひっくるめてETIC.でインターンをしてよかった。田中さんがコーディネーターでよかった」と言ってくれたことですね。インターン中は大変で泣いてしまったりしていた学生だったんですが、「大変なこともチャンスなんだよ」とポジティブに励ましていくうちに、最終的には企業さんもその子がインターンに来てくれてよかったと言ってくれました。
質問
―インターンを通じて、ひとりひとりの成長に関わることができるんですね。
田中さん
インターン終了後にその学生が書いたレポートも、誰が読んでも成長が見てとれる良い内容で、インターンを通じてやりたいことが見つかったと言ってくれてうれしかったですね。
質問
―仕事をしていて大変だなと思うことはありますか?
田中さん
前職では、自分の担当の仕事を終えたらそこで終わりだったのですが、いまは事務仕事もやらなければいけないので、自分のスキルのなさを痛感してます。今は基本的には私が横浜のプロジェクトを担当しているので、ミスしてしまった時などは、自分のすることの影響の大きさを感じます。
質問
―プロジェクトを担当しているやりがいと共に、仕事のフィールドが広がったことで自分の状況判断がより大切になってきたんですね。
田中さん
そうですね。でも、たとえ仕事でミスをしてしまっても、できないことに悩むのではなく、どうしたらいいかを考えることに悩むようにしています。失敗をするとどうしても人と比べてしまいますが、自分はこの仕事に向いてないと考えるんじゃなく、楽しい部分をいかに広げていけるか工夫することが大事だと思うんです。失敗して悩むにしても、できないことに悩む時間があったら、悩み方を変えたほうがいいと思っています。

インターンシップを通じて自分の軸ができた

質問
―田中さんご自身も、インターンシップ経験が今の仕事につながっていると思いますが、インターンシップの良さはどのようなところにあると思いますか?
田中さん
インターンシップを通じたチャレンジで、参加者と企業が相互に高め合ってがんばることができるところだと思います。インターン生のがんばりを見て企業側も気づくことがあり、インターン生も仕事をしながら企業の姿を見ることができて、お互いの成長につながると思います。
質問
―ハマトリアムカフェでインターンシップの様子をレポートしている「ジョブトライアル」でも、インターンをきっかけに表情がイキイキとする若者がたくさんいます。
田中さん
旅行や留学、サークルなど入り口はたくさん広がっていてどんなことでもいいと思いますが、インターンシップは企業など接する相手がいるので、一生懸命打ち込んで自分を見つめ直すには良い機会にもなると思います。
質問
―では最後に、この記事を見ている同世代の若者に向けてメッセージをお願いします。
田中さん
実は、私が大学時代に長野の白樺湖にインターンに行こうと思ったのも、誤解を恐れずに言えば、最初は旅行気分みたいなもんだったんです(笑)。でも、インターンシップを通じて自分に何が向いているのかを考えることで、社会ってこういうものなんだという自分の軸ができたと思います。インターンシップに取り組むことが、自分らしさを持って仕事で力を活かすきっかけにもなると思います。
質問
―ありがとうございました。

>>実践型インターンシップ・社会起業・起業支援 NPO法人ETIC.