高卒者、大卒者ともに平成21年度の就職内定率は下がり、一方で今年度は「高校無償化法」が施行されたことで、公立高の授業料無償化と私立高授業料の一部助成が始まり、教育現場でもより多様なニーズが求められつつあります。
その中で、若者の自立を支援するためには、この課題に教育機関だけで取り組むのではなく、企業や地域、そして就労機関とのつながりが不可欠と言われています。
横浜市が取り組んでいる若者の働くことの困難さを支援する仕組み「よこはまユースニューデール」においても、湘南医療福祉専門学校や岩崎学園などの専門学校からの協力を得て、若者が一度立ち止まっても、また学び直しができる仕組み作りに向けて取り組んでいます。
>>【ユースニューデール協力法人 インタビュー】湘南医療福祉専門学校
湘南医療福祉専門学校と岩崎学園ではこれまでに、学校の関連施設で若者のインターンシップの受け入れを実施。専門学校に通っている生徒たちだけでなく、自立や就労に困難を抱える若者たちの職場体験をサポートしています。
また、同校も所属している専門学校を代表する機関「神奈川県専修学校各種学校協会」では、会員校の連携協力の下、「若年無業者講座」や「小・中学生のためのチャレンジスクール」といった取り組みも実施中。
就労を支援しているNPO法人と連携して実施している「若年無業者講座」では、若年無業者のニーズや生活実態にあった柔軟かつ多様な短期職業プログラムを開催し、小・中学生や保護者を対象にした職業体験学習「小・中学生のためのチャレンジスクール」も行うことで、職業教育の充実に広く取り組んでいます。
また、同協会では教育現場の向上を目指した研修会も行っており、横浜支部が3月に開催した生涯学習研究研修会では、ヤンキー先生こと参議院議員の義家弘介さんによる講演が行われました。
義家弘介さんは、自身の体験が元になった「ヤンキー母校に帰る」が2003年にテレビドラマ化され、2007年には参議院選挙に当選。現在、参議院議員として活動しながら、東北福祉大学と北海道芸術高等学校で教鞭もふるい、「夢は逃げていかない、自分が夢から逃げていくのだ」をテーマに「教育再生」を提言しています。
「学校教育は、幼稚園・保育園などの幼児教育からもつながっています。その中で、夢=職業という中で進学が行われるのでなく、その先に何を実現したいかを大切にしてほしいと思っています。夢=職業ではなく、職業は自分が実現したい夢を最も効果的に実現するため、自分が実現したいものを守るためにあると思います」(義家さん)
現在、高校中退者の数は年間7万人近くにのぼり、64万人いると言われる「若年無業者(15〜34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)」問題の根底にも、高校の抱える課題は関わりが強いと考えられます。
義家さんはこの問題について「高校は一度出てしまったら、その子がどうしているか生徒が言ってこないとわかりません。そして、若年無業者が増えている中で、20代を思春期のカテゴリーに入れて対応しなければならない懸案がたくさん出てきています。新しい時代のために、専門学校や高校との連携がどのようにあるべきか。高校がどのような責任を負い、専門学校はその責任をどのように引き継ぎ、社会は学校に対してどのような接続の責任を受け継ぐか。新しい子どもたちのために、長い教育スパンが必要だと思います」と話します。
>>【カフェ通信関連記事】戸塚高校定時制(1)〜先生たちの放課後座談会〜
教育機関の枠組みから一度離れてしまったとしても、若者が再チャレンジできるような社会の仕組みがあることで、若者の自立から就労までを段階的に支援することにつながるのだと感じます。そして、そのためには若者が学校などの教育機関に属しているうちに、いかに支援の情報を伝えるかが大切ではないでしょうか。
義家さんはこの日の講演を「高校からのボトムアップと専門学校からのトップダウン。今こそ、縄張り意識を脱しながら、真に若者たちにとって大切な場所を作るために、彼らのためにどういう責任を互いに負い合えるのかを考える時代にならなければならないと思います。意見・思想・心情が違ったとしても、目的はいっしょです。子どもたちをしっかりと守り育むために議論をしながら思いをとめていきたいと思います」と締めくくりました。
専門学校のトップダウンという意味では、湘南医療福祉専門学校や岩崎学園で実施されているインターンシップや就労支援の講座が、まさに領域にとらわれず支援に取り組んでいる例だと思います。しかし、戸塚高校定時制にも見られるように、高校での課題は多様で複雑になり、教育現場での負担も大きくなっています。高校からのボトムアップをしていくには、ほかの教育機関や地域の支援団体との連携がさらに必要になってくるのではないでしょうか。
若者ひとりひとりが段階的にステップを踏んで前進していくために、また、一度立ち止まったり戻ってしまったとしても再びチャレンジできる環境を作るために、教育現場の目線から具体的な提案をしていくことが必要に感じます。
>>【ジョブトライアル関連記事】学校法人 彩煌学園 湘南医療福祉専門学校