Hamatorium Cafe通信

【発達障害ってなんだろう?】

横浜市発達障害者支援センター 〜具体的な選択肢を伝えるサポート〜

 自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、さまざまな分類と特徴を総称し、コミュニケーションにおける障害とも言われる「発達障害」。

 横浜市内には、地域療育センターや特別支援学校など、障害をもつ子どもたちをサポートする施設とともに、成人してからの就労に関する相談やサポートをしている施設があります。

 今回は、発達障害に関する相談支援を行っている「横浜市発達障害者支援センター」を取材しました。

発達障害の特性がどのように現れているかを整理する

 発達障害者支援センターは、全国の都道府県・政令指定都市に1カ所ずつ設置されている、発達障害をもつ方やその家族の相談を行う施設。JR横浜駅から徒歩約7分の場所に位置する「横浜市発達障害者支援センター」では、横浜市内に在住する18才以上の本人・家族、また支援者を対象に、無料相談を行っています。

 相談では、「家族とうまく関われない・今後の生活を相談したい」、「不適応行動(周りに迷惑をかけてしまう行動など)がある・セーブしづらい」、「就職したいがどこに相談すればいいのか・働いているがうまくいかない」、「職場や学校でうまく人と付き合うには」、「発達障害の特性を知りたい」などの不安に対して、社会福祉士や臨床心理士のスタッフの方が相談を行います。

 センターを利用する際は予約制で、1回の相談時間は平均約1時間。初回の相談ではスタッフの方2名と相談を行い、その後は1対1で相談していく場合と、そのまま2名で相談を続けていく場合があります。

 相談員で社会福祉士の桜井美佳さんは「発達障害の特性がどのように現れているか生育歴を聞くことで、それが小さい時から感じていたものなのか、それとも成人してから感じ始めたものなのか整理していきます。また、話していると、仕事をしたいというよりも家庭に居場所がなくて困っていたり、お金がなくて困っているという背景が明らかになってくることもあるので、そこを相談で整理して、就労を目指すかほかの選択肢を目指すかをいっしょに考えていきます」と話します。

>>発達障害者支援センター一覧

>>横浜市発達障害者支援センター


「生活のしづらさ」の背景にあるものを知る

 センターの利用者には20〜30代の方が多く、高校生の進路相談などをはじめとして、仕事に就けない、仕事をしているけどうまくいかないという就労の相談が多いそうです。また、これまでの学校生活では障害があるように思っていなかったのが、コミュニケーションが苦手なために仕事に就くことが難しくなり、成人してから障害の有無に気づくケースもあるといいます。

 そして、相談などで本人が語る内容には、「授業中に先生から質問はありますかと聞かれ、授業の流れと全く関係ない質問をした。授業内容以外の質問をしてはいけないと知らなかった」、「上司から『黙々と仕事してもらえたら大丈夫だよ』と言われ、『障害者だからって黙って働けということですか』と反論してしまった」など、コミュニケーションのすれ違いによる「生活のしづらさ」が背景にあるといいます。

 横浜市発達障害者支援センターでは、本人が感じる「生活のしづらさ」の背景にあるものを知り、生活の場面ごとに適切な行動などを伝えることで、見通しがもてるようなサポートを実施。また、必要に応じて、愛の手帳(療育手帳)などの取得方法、手帳を持つことで得られるサービスなどについてもアドバイスを行っています。

 桜井さんは手帳を取るメリットについて「手帳を持っているからといって一般の求人に応募できないわけではありませんし、就職活動をする際、会社にも手帳を示すことで、何が苦手で何に困っているのかを事前に伝えておくことができます。『事務作業は得意だけど電話応対は苦手なので外してほしい』というように、できることとできないことを明らかにして、支援者が間に入っての就職活動もできるようになるので、仕事とのマッチングにもむすびつきやすいと思います」と話します。

>>横浜市健康福祉局/障害福祉のあんない/手帳の交付インデックス


得意なことを活かして、不得意なことをサポートする

 また、桜井さんは発達障害への理解について「『やらないのでなく、できない』ということをわかることが大切です。得意なことは活かして、どうしてもできないことは無理矢理やらせるのでなく、周りの人に助けを求めていく。自分で見通しを持って考えるのが苦手なので、考えて動き出すのを待つのではなく、こういう方法があってこれを選ぶとこうなる、という具体的な選択肢を伝えていくことが大事です」と話します。

 横浜市発達障害者支援センターでは相談以外にも、発達障害に関する家族や支援者向けのセミナーを開催し、発達障害に関する理解を広め、区福祉保健センター、福祉施設、学校、就労援助機関などとの顔の見える関係づくりにも取り組んでいます。

>>横浜市発達障害者支援センター「2010年度・研修セミナーラインアップ」


 また、センターを運営している「社会福祉法人横浜やまびこの里」では、ジョブコーチなどによる就労支援施設「ワークアシストやまびこ」や、宿泊型のトータルケア施設「東やまたレジデンス」、一人ひとりの個性に合わせた職業・自立作業所「東やまた工房」など、状況や適性に合わせたサポート施設も運営しています。

>>横浜やまびこの里・事業所のご案内


 自分が得意なこと、不得意なことを明らかにし、それを周りに伝えることで自分の個性を活かしていく。誰しも不得意なことがある中、学校や会社の人たちもそのことに理解をもちサポートしていく意識が必要なのではないでしょうか。そうして理解やサポートの手が広がることで、本人が生活のしづらさを無理に抱えたり隠したりせず、見通しのある生活をしていくことにつながるのだと感じます。

 次回は、6月11日に行われる「発達障害セミナー(就労準備編)~働く大人を目指して~」の模様をレポートします。

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取材・文/古屋涼

(2010.06.04)
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