Hamatorium Cafe通信

【コラム】若者の働く・学ぶをみんなで創る

「支援機関同士の顔の見える関係」
よこはま若者サポートステーション 岡本圭太さん

 若者にも、その家族にも、サポートをする人たちにも、ひとりひとりの顔があって、さまざまな思いがあります。ここでは、若者を取り巻いている人たちのコラムを紹介することで、若者を応援するために大切なことはどういうことなのか、ひとりひとりの声を伝えていきたいと思います。

 第1回目のコラム寄稿者は、「よこはま若者サポートステーション」の相談員、岡本圭太さん。集団生活の中で労働体験を積む「よこはま型若者自立塾JOB CAMP」を岡本さんが見学に訪れた体験から、支援スタッフが現場で感じている意見、支援機関同士のつながりの大切さなどについて書いてくださいました。

一緒にいるだけで仲良くなる。自分にはこういう経験がないのでそれだけで新鮮

 こんにちは、よこはま若者サポートステーション(通称:サポステ)で相談員をしている岡本です。横浜駅の周辺には若者向けの就労支援施設がいくつかあるのですが、サポステはその中では入門編みたいなところになります。「すぐに就職したい!」という方もいらっしゃいますが、どちらかといえば「働きたいけど働けない」、「働かなければいけないのはわかっているのだけれど、何から始めたらいいのかわからない」といった悩みを持った方が多く来所されています。

 以前の記事にも紹介があるのですが、僕自身、働きたくても踏み出せなかった経験があるので、「その経験を生かして」なのか、ふだんはひきこもり経験のある方やご家族の相談をお受けすることが多いです。あとは、青少年相談センターや地域ユースプラザとの連携も担当しています。相談センターやユースプラザを利用している方が、「仕事に向けての相談をしたい」と思われたときにスムーズにサポステに繋がれるようにしたいな、と思っています。

 そこで昨年末、サポステと同じく若者支援の取り組みをしている「よこはま型若者自立塾JOB CAMP」を見学させていただいたのですが、そこで僕が感じたことを話してみたいと思います。

 僕が見学に訪れたのは、横浜寿町での炊き出しのボランティアの準備をしている日でした。15名ほどの若者が、炊き出しを行う現場設営のためのテントを組み立てたり、毛布の搬入を行ったりしていました。見ているだけではつまらないので、僕も彼らと一緒に作業をさせてもらいました。一応軍手を持参していったのですが、持っていって正解だったと思いました。やはりこういうのは実際に体験してみないとよくわからないですから。

 今回一緒に作業をしてみていちばん驚いたのは、JOB CAMPに何回も参加している方が多くいらっしゃるということでした。見学するまでは、なんとなく「参加は1回だけ」と勝手に思い込んでいたのですが、社会的ブランクが長い方に対しては、繰り返し参加することでさらに効果が深まるプログラムなのだと強く感じました。

 また、何度も参加されている方は能動的でとてもテキパキしていて、初めて参加する人には指示を出している姿などにも正直びっくりしました。「この人は実はスタッフなのではあるまいか?」とも思いました。慣れた方は顔に充実感があるというか、表情が明るかったのがとても印象的でした。

 休憩中や最後の振り返りの時など、何人かの方にお話を伺ったのですが、

「最初はなんとなく参加したけれど、やるうちに自分の得意不得意が見えてきた」
「一緒にいるだけで仲良くなる。自分にはこういう経験がないのでそれだけで新鮮」
「僕たちには『なんとなく』の連帯感がある」

 といった言葉が印象的で、参加者の中に仲間意識があるように感じました。今回は短期の通所型プログラムとのことでしたが、これが数日間の合宿型になると、連帯感やひとりひとりの変化がもっと強くなっていくんだと思います。

就労以前の体験と、仕事に就くまでの道のりをサポート

 今回JOB CAMPを見学させていただいて、実際に参加者と一緒に作業を体験したことで理解が深まったのと同時に、「やはり現場を見てみないことにはわからないものだな」というごく当たり前のことを再認識しました。

 よこはまサポステでも過去2年、1泊2日のワークキャンプを実施したことがありました。その時も、参加した若者がふだん相談で見せるのとは全然違う表情を見ることができて、とても有意義なプログラムだなと感じたことを思い出します。

 サポステで若者の相談をうけていると、人と一緒に作業する体験や遊ぶ体験、もっと言えば、帰りに喫茶店で仲間とお茶するといった、「就労以前」の体験がごそっと抜け落ちている方が多いなと痛感します。そして、これだけいろいろな体験が抜け落ちている状態で仕事に向かうのは、とても大変なことだと感じます。そういった意味でも、通所型のサポステと、宿泊型のJOB CAMPのような体験型プログラムと並行していくことで、効果が上がる若者もいるだろうなと感じます。

 そのためには、やはり今回のように、支援機関同士が顔の見える関係を作ることが大事だと感じます。お互いの団体が取り組んでいる活動の具体的なイメージがつかめないと、相談員も自信を持って利用者さんに紹介できないと思いますし、また利用者さんも、「◯◯さんの紹介だから少し安心かな?」と思って参加してもらえるようになると思います。
 
 誰にとっても初めての場所に行くのは緊張するものですし、実は今回、僕自身も見学に行くまでは結構緊張していたんです……。ですから、やはり初めて参加される方はもっと緊張されるのだろうなと思いました。

 そういう利用者さんの不安を軽減して参加のハードルを下げる意味でも、支援機関同士の顔の見える関係が大切になると思います。今回は事前にサポステで説明会を実施していただいたことで、具体的な内容をはじめ、どんな方がスタッフをされているのか、紹介するに当たってどんなことに留意すればよいかなどが見えてきました。

 サポステは総合相談を中心としているので、JOB CAMPのような集団での作業体験の機会はあまり多くありません。宿泊型のJOB CAMPでは就労以前の体験をサポートし、通所型のサポステでは仕事に就くまでの道のりをサポートする、という連携がしっかりできることで、さらに多くの若者に安心して利用していただけるのかなと思いました。今回見学をさせてもらったことで、集団での作業体験やボランティア体験を希望される方には、前より自信を持ってJOB CAMPを紹介できるようになりました。同じ紹介するのでも、「こんなところがあるらしいよ」と言うのと、「こないだ行ってきたんだけど、こんな感じだったよ」と言うのとでは、たぶんその伝わり方が全然違うと思うんです。

 幸いなことに、横浜にはJOB CAMPを含め、困っている若者を支援するたくさんの施設や団体があります。そういう意味では横浜は恵まれていると思いますし、実際、他の地域の方からも同じようなことを言われます。ですので、「サポステだけでどうにかしよう」と考えるのではなくて、「そういうことで困ってるんだったら、こんなところもあるよ」というように、積極的に他機関を紹介していきたいなと考えています。また、今回の見学をきっかけにして、今後も支援機関同士の顔の見える関係づくりを続けていけたらと思っています。

>>よこはま若者サポートステーション

寄稿/よこはま若者サポートステーション 岡本圭太


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(2010.01.22)
「支援機関同士の顔の見える関係」
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