2010年度の事業仕分けで廃止宣告を受けた 、若者自立塾を実施する3団体が『若者支援のこれまでとこれからを考える緊急フォーラム』を12月14日に開催した。緊急の告知にも関わらず、会場には実施者や若者自立塾を利用していた若者、関係者やマスコミなど169名が集まり、この問題の関心の高さが伺われた。
開会の挨拶をしたNPO法人文化学習共同ネットワーク代表の佐藤洋作さんは、事業仕分け自体を画期的であると評価した上で、来年度の予算編成が大詰めを迎えるこの時期に、若者自立塾が何だったのか、これからどうなっていくのか、今後の若者政策に反映していただけるような議論をしたいと口火を切った。
若者自立塾の準備委員会にも参加していた放送大学の宮本みち子 先生は、特別発言として、若者自立塾は若年者支援の散らばったノウハウを中央にしっかり蓄積し、支援ノウハウを確立していくことが目的だったと振り返った。
家族の問題から離れることのできる居場所提供、仲間との共同生活による人間関係の信頼回復など、一人ひとりのニーズに応じた個別的な支援方法が見え、個別的なデータの獲得から、隠れている潜在的なニーズを想像できるようになってきたと、費用対効果には表しきれない成果をアピール。
また、宮本先生が現在関わっている定時制高校の調査の中で、若者自立塾を必要としている人がいっぱいいながら、卒業していく現状に対して、来年度から施行される「子ども・若者育成支援推進法」で包括的なネットワークから支援を手厚くしていこうとしているこの時期に廃止は非常に残念。もう一度対象を整理して、彼らを放置したらどうなるのか、そういうことをもう一度確認する機会にしていきたいと語った。
現場からの声として、K2インターナショナルジャパン(Y-MAC) の岩本真実さんは、団体の豊富な支援実績を通じて、20年前の若者と現在の若者の違いを痛感しているという。今の若者は、希望がない中で見えない不安に苛まれ、若者たちが弱者になっている。しかし、これは若者に責任があるのではなく、社会に責任があり、国としての支援が必要であると、若者自立塾の必要性をアピールしつつ、一人ひとりのきめ細かい支援が必要とされる事業であり、費用対効果の中にはカウントできないようなものがあることも理解して欲しいと訴えた。
文化学習共同ネットワークの佐藤さんは、一般の方々に若者自立塾の理解を深めてもらうために、活動の様子を動画で流した。若者サポートステーションも運営する同団体では、ハローワークや地域連携も含め、フルセット型の支援していく中で、合宿型の若者自立塾は不可欠であるとし、地域の機能回復にも貢献していると訴えた。
佐藤さんは、費用対効果が上がるように施策を作り直していく環境整備を議論すべきであり、必要とするニーズが明らかに存在するのに、サービスが届いていないことをもっと問題にするべきであるという。若者自立塾の窓口をハローワークに作るなど、しっかりとサービスを伝えられる人材を配置するべきではないかとも訴えた。
日本労働者協同組合・ワーカーズコープ連合会(労協若者自立塾) の小椋真一さんは、塾生との関わり合いの中から感じたことを紹介しつつ、競争社会ではない若者の受け皿となり、若者自立塾が人と人の繋がりを生み出す社会的な仕組みとしての意義を語った。最後には困難を抱える若者が将来に希望を持って働けるよう、若者自立塾が発展していくことを強く訴えた。また、お年寄りや子どもや障害者の方には保障が充実しているのに、どうして若者には保障がないのか、若者が夢や希望を持てないのが一番の問題なので、若者への保障をもっと考えて欲しいと語った。
若者自立塾の元塾生たちからは、共同生活の中から「他人を頼ることができるようになった」「親と離れ間にスタッフが入ることで親子関係が改善した」「人とつながれたことが一番の収穫だった」「人間っていいなと思えた」「自分を好きになることができ、今、求職中だが絶望感はなく、前向きに考えられるようになった」といった声があがり、ファシリテーターを勤めた文化学習共同ネットワークの藤井智さんは、若者自立塾を通して、孤立していた自分を超えられたことで人と出会い、自分が見え、人に頼ってもいいかなという気持ちが芽生えたことが、若者自立塾利用の大きな成果だったのではないかとまとめた。
フォーラムの感想として、若者自立塾を管轄している厚生労働省キャリア形成支援室の伊藤正史室長と、事業仕分けの第一ワーキング・グループから元我孫子市長の福島浩彦さんから感想を伺い、最後に、本日のコーディネーターを務めた、日本労働者協同組合・ワーカーズコープ連合会の古村信宏さんが、今回のフォーラムが重要なプロセスを作ったという実感をもとに、当事者や実施者がいろんな形で情報を出し合って、業界全体で議論の会を作っていかなくてはいけないと、フォーラムを締め括った。