Hamatorium Cafe通信

【若者の働くを応援する!地域×企業×NPO×行政】

平成21年度 第3回ヨコハマユースフォーラム(3)

就労までの段階的な支援をしていくために

 若者の就労支援団体や行政、企業、地域の市民ひとりひとりが集まって意見交換が行われた平成21年度第3回ヨコハマユースフォーラム。パネルディスカッション後半ではさらに、新しい就労のカタチについても議論がされました。

石井「ハマトリアムカフェのアフターアワーズでは、中間的な就労として『在宅ワ−ク』についても現在議論しています。いきなり正社員として働くことが難しい場合、その中間を埋める働き方も必要ではないでしょうか」

鈴木「在宅ワークからいかに次の段階に移行できるようになるかがポイントだと思います。『派遣労働』という働き方も、最初は働き方の多様性と言われていましたが、実際は雇用の調整弁にもなってしまいました。中間的な働き方から、その後しっかりと自活していく働き方になれるかどうか。この間にある高い階段をどう乗り越えていけるかが大事だと思います」

本田「若者たちの自己肯定感が失われている中、就労まで段階を経て上がっていくことが必要ですね。仕事に就くために非常に高くなってしまっている階段を、もう少し下げてもらうことができないかと思います。労働市場そのものあり方を是正してもらうことも必要ではないでしょうか」

石井「労働市場のハードルを下げるという意味だと、ジョブカード制度にあるOJT (日常の業務につきながら行う教育訓練)とOFFJT(通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練)が、就労への階段を実現する可能性がある取り組みだと思います」

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石井「岩崎学園では、有効性の高いカリキュラムはどのようなものがありますか?」

植田「カリキュラムの中で何か資格を得られると、彼らに自信がついていくのがよくわかりますね。座学の後に職場実習を行うカリキュラムもあり、受け入れ時は懸念している企業でも、実際に訓練生を見ることで印象が変わり採用してくれる場合があります。企業にも人材育成が責務であり、地域みんなで若者を育てることが必要だとわかってもらうことが大切だと思います」

鈴木「専門的な知識や技能を提供するわけでなくても、就職活動に必要な力や、コミュニケーション能力、どうやって仕事に取り組んでいくかなどの実際に就業に必要なスキルを、地域のネットワークの中で出口をもって支援していくことが大切だと思います」

本田「若い人たちが求めているものを、今の支援ではどのように受け止めているんですか?」

石井「ハマトリアムカフェでは、支援情報をもたないためにサポートステーションや自立塾に行くことができていない若者たちへ向けて、情報支援をしています。若者支援の現場で、NPOなど既存の社会資源同士をつなげると共に、そこに企業など未知の社会資源がかけ合わさることで、ネットワーク型の支援が実現されるのではないかと考えています」

岩本「支援に関わる人がつないでいかないと結局は形だけになってしまうので、私たちは一緒に暮らし、一緒に仕事をしながら、目の前の若者に何が必要か常に考えています。本人にもいろいろな葛藤があるので、メールに書いた不安などもその場だけで対応するのでなく、じゃあその後どうしたかを探って、それをトータルしてその若者を見て行くことが大事だと感じています」

鈴木「若者たちは社会に連いていけなかった自尊心の低さがまず全面に出ているので、日々相談に応じている私たちが、彼らだけでなく、彼らを取り巻いている社会を見ながら支援していくことが大切だと思っています」

植田「カリキュラム以前に、今は教育課程の中でも働くことが希薄になってきており、高校卒業後に進学も就職もしない若者が増えています。若者たちと接する中で、支援を行うNPOともっとネットワークを持つ必要があると思っています」

本田「若者に厳しい見方ばかりするのでなくて、地域の中で少しずつでも回っていくような事業の場を作り出すことが必要ですね」

職業教育と若者の新しい働き方

 パネルディスカッションで支援者同士のさまざまな意見が交換された後、ヨコハマユースフォーラムの最後は、本田由紀さんの講評で締めくくられました。

 コミュニケーションが失われがちな現代社会について本田さんは「教育と仕事、仕事と家族、家族と仕事、この中にとても強い関係性があったのが、90年代以降はそれがうまく回らなくなってきました。教育を終えても仕事に就けず、仕事の中でも安定した正社員は減ったため、賃金格差がついて家族がつくれず、もしつくれても格差が大きいので家族間の広がりも大きくなってきてしまった」と話します。

 そして本田さんは、コミュニケーションを形成する上での関係性が希薄になる中、社会全体がその支えをなくしてきているため、これを何とかして動かしていくことが重要だと訴えます。

「これからの課題は、企業や小中高、労働機関など、社会の本体を巻き込んで、人が互いに助けを差しのべるような社会を作ることが大事だと思います。また、若者が社会に合わせていく『適応』だけでなく、社会を変えていくための『抵抗』も大事なことだと考えています。適応には、段階的な道を辿ってもらうことが必要ですが、社会に合わせてもらうだけでは大変です。ひどいときはひどいと言ってもらえる社会にすることも必要だと思います」(本田さん)

 横浜市内では現在、行政の支援施設や地域の支援団体などが数多く活動しており、全国的に見ても若者支援の土壌はとても恵まれています。しかし、各支援施設や団体がそれぞれの特性を活かし、ひとりひとりの若者に合った支援ができているかというと、それはまだまだこれからネットワークを作っていかなければならない部分だと思います。

 若者支援のための社会資源が横浜を始めとした各地に集まりつつある今、教育から就労までの段階的な支援を実現するために、今後は地域ネットワークにおける具体的な提案や取り組みを実践していかなければいけないと感じます。

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取材・文/古屋涼

(2010.03.12)
平成21年度 第3回ヨコハマユースフォーラム(3) #hamatorium
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