横浜市は、社会全体で若者の働く力を引き出し就労へと導いていく事業「よこはまユースニューデール」をスタートしました。働く若者の力で横浜を元気にするために、就労相談や職業体験のプログラムを増やすことで、働く意欲さえあれば誰もが働くことのできる街を目指します。

「よこはまユースニューデール」の主な取り組みは、
•「よこはま若者サポートステーション」の拡充
~出張相談やセミナーを通じて就労相談支援機関の充実を図る
•「よこはま型若者自立塾」の拡充
~インターンシップや合宿プログラムを通じて若者を就労へと導く
•「E-若者サポートステーション」の開設
~インターネットを通じて若者と仕事を結びつける
という3つです。
「よこはま若者サポートステーション」は、若者とゆっくり、じっくり相談をしながら、自立へのステップを積み重ねていくサポートをする就労支援施設。サポートステーション内での各種ワークショップや、臨床心理士とのメンタル相談、ジョブトレーニングやキャリアカウンセリングなど、ひとりひとりの課題や克服したいことに合わせた様々なプログラムを行っています。
若者の雇用を地域社会で考える「ヨコハマユースフォーラム」が、ヨコハマ・クリエイティブシティ・センター(横浜市中区本町6)で先月行われました。ユースフォーラムは、市内青少年の社会的、経済的な自立支援施策を考えるために、横浜市こども青少年局が昨年度から行っているもの。企業、行政、NPO、教育関係者、そして若者たちが集まり、働く若者の力で横浜を元気にするための話し合いが行われました。
当日は、「よこはまユースニューデール」の活動紹介がされた後、リラックスしたカフェ的空間でテーブルごとに話し合って全体の意見を集める「ワールドカフェ」を開催。「ワールドカフェ」とは、テーブルを移動し違うメンバーと話を重ねることで、「そこにいる全員と話した」感覚で意見を交わすことができるというもの。4~6人でテーブルを囲みテーマについて20分ほど語り合い、その後ホスト役1人をテーブルに残しメンバーを入れ替え、話し合いをさらに繰り返します。
今回話し合ったテーマは、「若者たちはどんな困難を感じているのか?」「若者たちの能力をどうやって生かしていこうか?」「働くことの楽しみをどう経験したらいいのだろう?」「横浜に若者たちが働く場所を創ろう!」という4つ。はじめはワールドカフェという新しい手法に皆さん手探りのようでしたが、いざ話し合いが始まると、もっと話していたいという声があがるほど各テーブルで議論は白熱。参加者の方それぞれが年齢や職業などの垣根を飛び越えて、「若者が働くこと」についての思いをお互い表現しあっていました。
各テーブルには模造紙がしかれ、話し合いをしながら言葉や絵を自由に書いていくのですが、そこにはこんな言葉が・・・
「自己実現にもいろいろある」
「何をやるかも大事だが、誰とやるかがもっと大事」
「家庭がわかってくれない」
「相手に感動してもらえた時、人間関係がつくれた時がうれしい」

「仕事には、自分のイメージと実際のイメージにギャップがある。それをすりあわせる時間が必要」
「コミュニケーションを気にしやすい、失敗へのプレッシャーを大人に言えない」
「能力主義が問題」
模造紙に描かれた言葉は、働くことの不安や喜び、雇用にまつわる問題を浮き彫りにしています。これらの言葉は、どれも働く上での「コミュニケーション」の重要さを示しているのではないでしょうか。仕事をし、生活をしていくには、必ずそこに他者との関わりが生まれます。模造紙に刻まれた「何をやるかも大事だが、誰とやるかがもっと大事」という言葉は、働くことにおいての人間関係の大切さを訴えかけるものでした。
若者の働く力をつないでいくには、まずは若者たち1人1人の声を聞くことが始まり。ユースフォーラムで行われたワールドカフェで1番印象的だったのは、やはり参加した若者たちが自分たちの声を振り絞って意見を伝えようとしていたことです。もちろんそれもまだまだ充分ではなく、若者1人1人に合った支援を提供するには、社会全体が手を取り合って実践の場を積み重ねていくしかありません。
若者への支援が一方通行で終わらないためには、各支援団体や現場で行われている活動が互いに連携し、若者を応援する取り組み1つ1つがつながりあうことがもっと必要なのではないでしょうか。
ユースフォーラムの最後には、放送大学教授の宮本みち子さんのお話がありました。宮本さんは、青年社会学、家族社会学を専門とし、青年期と成人期の間をポスト青年期と着目。若者が大人になる過程を研究しています。また、横浜市青少年自立支援協議会の座長として、若者のための行政に取り組まれている方です。
宮本さんは「横浜では、約5年前からこうした若者の就労支援の取り組みが本格的に始まり、支援のネットワークが確実に広がってきました。困難を抱える若者の背景は本当にさまざまで、つまずいている若者を放置せず社会がきちんと支援することが大切。仕事の受け皿が小さくなっているこの時代、働いて自分で生きていけるための道をどうやって見つけていくのか、支援するだけでなく、その先の受け皿も重要な問題です。横浜は豊かな自治体で、NPOも多く、こうして多彩な方々が集まって若者につい話し合うことができる。経済状況が不安定な現在、企業に入って給料をもらうという働き方だけでなく、それ以外の道をつくれないだろうかというのが横浜が考えている取り組みです。そして企業で働くこと以外の可能性を見つけるには、まず仕組みがないといけません。時代状況は厳しいですが、それを悲観的に考えても仕方ない。何とか新しい社会作りを考えていけたらと思っています」と話しています。
横浜で広がりつつある若者就労支援のネットワーク。就労に困難を抱える人の背景は男性から女性までさまざまで、1人1人にあったサポートをするためには、支援団体、企業、NPO、教育機関、そして何より若者たちの声をつなぎあわせることが不可欠。
「ハマトリアムカフェ」では、若者から大人まで1人1人にスポットライトをあて、その声を発信しつなぎあわせていきます。